050823

もっと日本を食べよう
 ネパール、カトマンズの日本食レストランは近隣諸国に比して、レベルが「高い」とよくいわれます。われわれ関係者にとってお褒めの言葉と理解していますが、先にご紹介した、ジャポニカ米の開発者の故藤田さんの努力の賜物と思っています。日本料理屋でインディカ米が出てきたら興ざめです。南アジアの最大の観光地モルジブではジャポニカ米をわざわざ日本から輸入して、最多の旅行者の日本人のお客さんに対応しています。カトマンズではすでにその心配はありません。自前ネパール産の「ご飯」によって、レベルランクは上がっていると思います。「タイよりおいしい日本米」とバンコック在住の日本の方にいわれたことがありました。

 日本料理といえば、「てんぷら」「すき焼き」でしたが、いまや「すし」「刺身」です。スイスの空港内にあるコンビニで「握りずし」のパック詰めを売っていると聞いています。わが国では「デパ地下」ではよく見られますが、コンビニでは「握りずし」は珍しいと思われます。ロンドン、パリの日本料理屋さんではマグロの刺身も当たり前と聞いています。アメリカ、カナダ、オーストラリア等では全土に見られるようです。魚の生食が国際的に日本食の代名詞になったと理解すべきでしょう。

 魚を「生」で食べる習慣は日本独自の食文化とはいえません。韓国、台湾でも食べています。われわれの食べ方とは少し異なっているようにも思えます。ワサビ・醤油ではなく、唐辛子味噌を軽く食酢で溶いて使います。けっこうこれが美味いといわれます。バングラディシュのダッカの韓国料理屋さんでは「人気メニュー」になっているとか。

 「握りずしができますか」。欧米人のお客さんがおいでになって、おたずねになることがあります。残念ながらネパールは山の国です。海からは遠く離れています。まずは新鮮な生食用の魚を手に入れるのは困難をともなうのはいうまでもありません。冷凍技術の進歩は目覚しいものがあります。しかし、ネパールの流通は粗末なものです。カトマンズ空港には冷凍設備はありません。生ものは危険に晒されます。私たち「ロイヤル華」はモルジブから60キロの「キハダマグロ」1本をシンガポール経由で送らせましたが、カトマンズ空港の通関に手間取って、腐らせてしまいました。

 日本食を「1年に1食以上食べているヒト」は世界で6億人という数字があります。「何を日本食とするのか」わかりませんが、これを2倍の12億人に官民の協力で推進いていこうとする計画があります。「食文化研究推進懇談会」(会長は茂木友三郎 キッコウマン会長)です。内閣府の「知的財産戦略本部」が食やファッションなど世界に誇れる知的財産をもっと世界に紹介しようとして発足させました。フランス料理、中華料理に次ぐ「第三の料理」にしようということです。

 目標達成のために同会が課題としたのが「ナマザカナ」の「扱い方の普及・指導」とのことです。それについて、来年までに外国人向けの「日本料理のテキスト」を作り、料理人を海外派遣していくそうです。

 世界にある「日本食のレストラン」は2万4000店ともいわれます。日本食の紹介はこれらの店の努力で、今日の6億人(?)があるわけですから、この「国家的計画」には私たちはもう一肌脱がねばなりません。当店(ロイヤル華ガーデン)の開店当初の宣伝文句に『日本を食べよう』がありました。現地のお客さんを呼ぼうとするためのものでした。