050518

 『非常事態宣言』解除 騒乱は起きなかった

  ゴールデンウイークも終わり、日本からの観光のお客さんもめっきり少なくなったころ、露天風呂に若い男性のお客さんがおいでになりました。「連休に出勤したので、代休です」とのことでした。「カトマンズには日本の旅行者がいませんね。『非常事態』だからでしょうか?」。街を歩いても日本人旅行者にまったく会わなかったようです。連休明けはいつものことで、季節的なこともあるでしょう。
 
  5月はじめ国王はネパール「国家元首」として外遊しました。2月1日の「非常事態宣言」も解かれました。あれから3ヶ月諸外国に約束した通りのことです。国王自らの執政に不快感を示した隣国インドもそれとともに武器供与を再開しました。インドも暗に王政を認めざるをえないでしょう。それ以前に中国の理解を取り付け、内政、外交でも確実に実績をあげてきています。

 公務員、警察官らに対する不正撲滅指導は功を奏し、私達も戸惑うほど以前のイリーガルな手段は使えなくなりました。大物政治家も収賄容疑で逮捕されています。
 
 市民生活の場でも不正を取りしまっています。民主化時代には当たり前のように行われていた度量衡の不正を強力に取り締まっています。アフガニスタンでは民主化とともに同取締りが実施されましたが、ここでは反対です。下級警察官の「たかり」、「脅し」も今のところないといってもよいでしょう。それまでゼネストの度に頻発した灯油やLPGガスの『売り惜しみ』もなくなりました。市民は「ようやく安心できる」毎日を送っています。
 
 21世紀に王政はなじまないことはいうまでもありません。しかし、このネパールはまだ18世紀といってもいいでしょう。経済も教育も社会の価値観も市民生活もきわめてわれわれからみれば遅れています。なぜ遅れているかはともかく、遅れているからといって諸外国からむりやり民主化を強要されるのも困ったことに違いありません。民主化をやり遂げる力もないのに共和制を敷き、ぐちゃぐちゃになっている国もそこらにたくさんあります。いまのこの国には共和制よりも王政の方がよくなじんでいるといってもいいでしょう。
 
 2月1日の国王のTV演説では、「混乱を回避」するために、『非常事態を宣言する』ことを明確にしていました。いいかえれば混乱を起こさせないという予防措置です。「すでに起きている混乱」を抑えるために発動したのではありません。当然のこと混乱は起こりませんでした。それ以前から反政府武力闘争はありましたから、とくにそれを押さえ込むための発動ではありません。 「ネパール全土で騒乱が起きている。だから国王が『非常事態宣言』をし、国軍を動かしたとする日本での理解は間違いだったのですね」露天風呂の若いお客さんはようやくわかってくれました。