| 世界の主食は主として米穀と小麦に分けられます。栽培作物としてどちらが人類史上古いのかはわかりませんが。米は東南アジアと南アジア、小麦は西アジアで初められたと考えてもいいでしょう。いまでも顕著ですが、それぞれ特徴ある文化を育んできました。
米の栽培には大量の水が必要です。ですから水を蓄える大きな森がなければなりません。森に蓄えられた水を田圃に運ばなければなりません。川が必要です。森も川も自然そのものです。自然との共生は必然です。米と川魚で生きてきました。高温多雨の東アジアならではの生き方、考え方が生まれました。
小麦は米の栽培のように大量の水は不要です。そこで、乾燥地帯の西アジアでつくられてきました。森は不要です。そこで、耕作地を大きくするために森を切り開いていきました。森のない野原で、小麦と牧畜で生きてきました。自然は利用しやすいように作り替えていくものとして考えてきました。
今年の2月17日に「京都議定書」が発効されました。国際的に地球の温暖化を止めようとするもので、温室効果ガス削減にむけて、法的義務を課せられることになりました。私達がこの地球を守り、暮らしやすい地球環境を未来に残そうとするものです。
温室効果ガスとは主にCO2です。産業革命以後、各国が競ってきた工業化の負の産物です。とくに日本は先の大戦後、工業立国をかかげ「モノ造り大国」を目指しました。(離農して)一億工業労働者となり、いまや世界の工業生産の25%を受け持つ工業大国日本ができました。いま大気中のCO2の25%はわが国日本の責任といってもいいでしょう。そして工業化はわが国の食料の自給率を極端に低くしていったという二重の問題を作ってきたことを知らなければなりません。モノを生産し、それを売って、その金で食料を買うこのサイクルは「魔の循環」といわれています。決して止められない止められないサイクルなのです。止めることは餓死することですから。
この4月に1年経過した拡大EUは総人口4億6000万です。それにもかかわらず、工業生産は19%とわずかです。フランス人のお客さんがいいました。「日本のように私達は恐ろしいことはできないよ。モノを造って売ったお金で食料を買うのなら、食料を造ったほうがいい。農業生産からはCO2は出ないからね。モノ造りはほどほどにやるさ」。EUは圏内ではまず食料の完全自給を目指しています。「魔の循環」を回しながら環境を維持することは至難の業です。産業革命の工業化の先輩国イギリスは工業を止めました。「ファイナンスで生きていくさ」とのことです。
大げさにいえば、自然をねじ伏せてきた小麦文化圏のヨーロッパの各国が自然破壊の恐ろしさ、負荷の大きさに驚き、その反省を生かそうとしてきています。にもかかわらず、韓国、中国、タイ、マレーシア、インドが日本のような工業大国を目指しています。自然との共生をしてきた東アジアの価値観はいったい何処へ消えてしまったのでしょうか。
工業国が豊かで、農業国が貧しいという図式がアジアにはいまだに残っているのかもしれません。
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