050320

  秩序は回復
  先の非常事態宣言から1ヶ月半が過ぎました。少なくとも首都カトマンズは、ここで、ビジネスをする外国人の目は大きく変わりました。それ以前に毎月2〜3回行われていた政党主導やマオイスト主導のゼネストがまったくなくなりました。また、政党が繰り広げる反政府デモがなくなり交通の流れもよくなったことなど、商業活動および市民生活がようやく平常に戻ったことはなによりです。思えば1996年以来のことです。不便なことは、いまこの時点でも携帯電話が使えないことぐらいでしょうか。

 この国の民主化もベルリンの壁の崩壊と共にはじめられました。ときの前国王の決断でした。民主憲法に基づき政党政治が始められました。しかしながら、この15年間というものは、党利党略のみならず私利私欲、権力と金に明け暮れたといってもいいでしょう。政治家のみならずお役人も同様です。司法・立法・行政すべてに正義はなくなってしまいました。ということはどのような表現をしていいのか、戦後のわが日本の民主教育を受けた第1期生の私にはわかりません。あえて言うことができるなら、「金まみれの三権分立」とでもいうのでしょうか。政治を引き渡した前国王もあきれ果てていたことは想像できます。だから、反政府武力闘争を始めたマオイスト対策に国軍を出動させる許可を最後まで出さなかったのではないかと思われます。「それもこれも政治の問題、あなた方の責任です。武力ではなく政治で解決しなさい」ということだとネパール国民は理解しています。賢明な方でしたから。

 現国王による非常事態宣言がどのような意図があって出されたのかは、私達外国人が語ることではありません。ネパール国民が正しく評価することです。すくなくとも、行政が「まともに仕事をするようになった」という声を聞きます。現に私たち外国人がかかわらなければならないお役人の仕事ぶりが目に見えて親切でスムーズになったことは確かです。そんなことぐらいで評価できるとはいえないでしょうが、私達にとってはとりわけありがたいことには違いありません。以前はどうであったか想像していただければ幸いです。地方のことはまだわかりませんが、カトマンズではすべからく秩序が確実に回復していることは確かです。
 
 政変には違いありません。世界中に知らされました。一時は電話回線が閉鎖されました。言論統制もありました。そんなことで、2月の観光のお客さんのおよそ半数が減りました。そんななかでもおいでになったお客さんは、なんの不都合もなく大ヒマラヤ旅行を堪能して帰っていきました。3月、4月、5月は山歩きのシーズンです。予約も「回復の兆しあり」とのうれしいニュースを聞きました。山では石楠花がほころびだしました。私達の顔も。