041218

まずしくとも・・・・

 「この店のお客さんの多くはお年寄りですね。この国、カトマンズをご覧になって、ヘルプなさりたいという日本人の方がいらっしゃいませんか。もしもおられましたらご紹介ください」。日本の若い方よりも、丁寧で上手な日本語を話すネパール人の紳士淑女が当店にたくさんおいでになります。
 
 この国ネパールは民主化に失敗して、国王の権力下にあります。それに反対する旧政党派の人々、武力闘争を続けるネパール毛沢東主義の人々との三つ巴の権力闘争は止むところはありません。幸い外国人の観光のお客さんにその被害は直接にはありません。が、日本国外務省は「渡航の是非検討」国に指定しましたので、被害はないにもかかわらず、日本人のお客さんは増えておりません。そして、例に漏れず、この国にもアメリカは軍事支援を小規模ながら行っているために、アメリカ人観光客を減らしています。また、カトマンズ以外では毛沢東主義者の勢いが強く、地方での平和支援の活動は中止もしくは延期を余儀なくされています。    

 旧政党の指導する反国王の抗議デモが毎日のように行われていますし、毛沢東主義者が指導する幹線道路封鎖のストライキも行われています。流通ははかどらず、いうまでもなくネパール経済はよいわけはありません。お金は動きません。 そこで、上記の紳士・淑女が、日本のお客さんや欧米人のお客さんがたくさんおいでになる当店に現れます。先の「貧乏は金になる」で書いたように、旨い話を探しに、作りにやってくるのです。  
 
 この国でもボランティア活動は勝手にはできません。許可制です。その許可を得るのには、重要な要件をクリアしなければなりません。1年間に5万米ドルを海外から送ることが絶対条件です。毎年続けられなければなりません。5万ドルはこの国では大きな額です。運良く係われれば、当分食べていかれます。そうしたグループの事務局をあずかることができれば、お役人の10倍の1000ドル、2000ドルの月給をいただけます。車も使えます。大きな家を事務所に借りて、家族を住まわせることもできます。公私混同はこの国では常識といってもよいでしょう。

 学校、診療所、図書館の建設、村の寺院の補修、小規模な護岸工事、部落の水道や橋梁の補修、教員の指導、海外からの民間のヘルプには必ずお金が伴います。彼らの興味は仕事ではなくお金です。スポットの仕事でもそれはそれなりなのです。

アメリカの一仏教徒がヒマラヤ山中の寺院の壁画の補修を思い立ちました。そんな話を聞きつけて、坊さんではないのに袈裟を着て当人に会い、まんまと騙してしまいました。壁画は朽ち果てたと聞いています。

 日本のある自治体から、使えなくなった古い救急車を送ってもらい、カトマンズで修理して救急車として使っていますが、ここでは救急車は民営の商売です。つまり救急タクシーです。たぶん送ったかたがたは、そうとは知らなかったはずです。  
 
 旅行でおいでなっていたある病院長に近づき、古い医療機器の寄贈をねだり、ネパールに届くや否やインドの病院に売ってしまった話・・・話、話。ああ、ため息が出ます。
 
 貧しくとも、ネパール人はたくましく生きているといってよいのでしょうか。