040815

敗戦記念日
 8月15日が過ぎていきました。超大国の要請によって完全武装の自衛隊がイラクに駐留する59年目の8月15日でした。今年は、NHKでは「神宮球場雨の出征学徒大行進」をテレビ画面に映し出したでしょうか。大雨に濡れながら、それは勇ましくも死を急ぐ大学生「神風」の行進でした。

 そして、それから59年、我が日本は世界の3極のひとつにかぞえられています。この地球上の生産の35%をアメリカ、25%を我が日本、そしていまや15カ国になったEUが20%弱をまかなっています。人口比では世界のトップなのです。何でも造れる国、最高の外貨を保有する国、アメリカの国債を十分に保有し、国連の拠出金は最高、唯一の対外借金のない国、・・・。物づくり大国日本の偽りのない力です。

 59年前の大学生は同世代の8%でした。まさに村から一人の選ばれた若者でした。国を背負うべき自覚と責任を身体全体に漲らせていたでしょう。その大学生の半数が神風になりました。人とは、社会とは、国とは何かを考え、勉学に励んでいた文科系の学徒だけが神風に選ばれたのです。「雨の・・・大行進」は哲学、文学、政治、・・・を学ぶ学生でした。世界一の高性能の戦闘機には彼等のすぐれた頭脳が必要だったのです。コンピュータのない時代でした。一方の半数の大学生はいうまでもなく理工系の学生です。先の大戦はすでに技術戦争だったのです。かれらは猶予されました。そして、まもなく8月15日になり、戦後が始まりました。


 戦後とは敗戦後ということです。アメリカが新しい日本(今の日本)を作りました。国を動かすソフトウエアはすべからくアメリカによって造られたといっても過言ではありません。そして冷戦。アメリカは敵前に位置する日本を物資調達のための物づくり国にしつらえていきました。神風をまぬがれた理工系の秀才がこれを支えました。日本全体がプロジェクトXでした。造ればアメリカが買い、そのドルが日本をさらにスケールアップしていきました。
 
 そして今日、わが国の経済が行き詰って久しくなりますが、のみならず多くの制度の行き詰まりが現れています。アメリカが作ったわが国の制度です。多くの制度は作られたままの姿です。教育制度、税制度、・・・、いちども見直されたことはありませんでした。アメリカの作った制度は果たして東洋の日本人に適切なものであったのでしょうか。もろもろのシステムや価値観は日本人の生活に適切なものであったのでしょうか。日本人はいかに生きるべきなのでしょうか。その日本人の国はどうあるべきなのでしょうか。勝戦国アメリカは敗戦国日本をアメリカのために便利につかってきたように思えてなりません。物づくりに秀でた日本はどう考えても、人づくり、社会づくり、国づくり、国際づくりには長けているとは思えません。
 
 「日本の悲劇は戦争に負けたことではない。戦後の日本を背負う彼等を死なせてしまったことだ」。戦時中、合成ゴムの開発を軍のもとでてがけ、その後、今日の物づくり大国を代表する企業を立ち上げた大技術者の言葉が思い出されます。「彼等がが生きていればこんな日本は創らなかった」。神風学徒には同氏の旧高等学校の友人達も多かったと聞いています。