080331

フリー・チベット

 仙台の渡邊です。大変ご無沙汰しておりますがお変わりありませんか?今年はチベットで時間を費やしてしまい、ネパールはあまり長く滞在出来ず、ゆっくり訪れることが出来ませんでした。残念!あ、おしるこ美味しかったです、ご馳走様でした。

 ご存知の通り、そのチベットが今、大変深刻な事態に陥っております。

 時系列でおっていくと、
○ 3/10
 デプン寺の僧侶 500名が平和的抗議デモを行っていたところ、武装警察がこれを弾圧。同日ジョカン寺でチベット国旗を掲げて抗議した僧侶 14名を殴打して連行。この惨状を見かねた市民が暴力を止めてもらうよう警察に哀願したが、この為、チベット族市民 3名も連行。

○ 3/11
 セラ寺で 600名の僧侶が座り込みの抗議を行っていると武装警察が乱入、これらを殴打、多数の僧侶を連行。

○ 3/12
 カンデン寺の僧侶数百人が和平請願に赴こうとしていたところ武装警察によって寺を封印。現在に至る。
 この段階でラサの三大名刹は完全に封印される。

○ 3/14
 三大名刹鎮圧に対し、数百人の僧侶が抗議デモを行っていたところ、武装警察が殴打、催涙弾などを使用。これを見ていたチベット族市民の怒りが沸点に達し、数万人のチベット族市民が大規模抗議行動を行い一部が暴徒化。
 当局が大量の軍隊を投入しこれを武力鎮圧。数百人が死亡。(中国政府は否定)

 その後の一斉蜂起の広がりはご存知の通りで、中国政府はこれを袈裟を着た獣であるダライ一派が扇動した許しがたいテロで人民戦争を行うと宣言。数万人規模の精鋭部隊を投入。鎮圧にあたっております。それでも散発的に抗議デモが各地で起こっており、死者は今後もますます増えるばかりでしょう。また封鎖されている寺ではインフラが止められ、餓死者が出始めているそうです。

 信仰の自由を求め、年間数千人が警備の手薄な冬を狙って極寒のヒマラヤを命がけで越えて亡命します。その中には小さな子供達も含まれており、道中力尽きたり、凍死したりと、たどり着く前に命を落とす者も多いそうです。

 昨年、国境を越えようとするチベット人を中国の国境警備隊がまるで狩を楽しむように射殺する映像が全世界に流れ衝撃を与えました。

 これらの亡命者が必ず通る国、通らなくては目的地にたどり着けない国、それがネパールです。長らくネパール政府は中国からの圧力に対する配慮と国際社会の厳しい抗議に対応するため、
  ・国境付近で捕まった場合は密入国として逮捕・中国へ送還。
  ・カトマンズまでたどり着いた者は国連事務所で保護・難民認定。
というダブルスタンダードをとっておりました。しかし中国政府の圧力が強まってきているのか、2003 年にはいったんカトマンズまで逃れ、ハヌマンドゥカで拘留していた 18 名のチベット難民を中国側に引き渡すという暴挙を行っております。これには西側諸国や国連難民高等弁務官事務所から強い抗議を受けました。

 現在、中国の治安当局者が取り締まりにあたるため、国境を越えてネパール側でも公然と活動しております。これに対しネパール政府はなんら抗議もコメントも発表しておりません。逆にカトマンズでのチベット人の抗議デモに対する殴打を含む厳しい取締りを行い、その映像が世界中に流れ顰蹙を買う始末。

 地政学上、大国インドと中国に挟まれた小国として常に難しい対応を迫られているのは事実ですが、一方で主要各国の援助で成り立っている国でもあり、ここで国際社会の声を聞き間違えてはいけません。

 国際社会の非難の声は日に日に高まっております。EU諸国でもポーランドをはじめチベット問題に関する抗議として北京五輪開会式ボイコットを表明が相次ぎ、アメリカ、ドイツ、イギリス(予定)の首脳はダライ・ラマと会談。先進国の首脳でダライ・ラマと会談を行っていないのは日本だけだそうです。

 その日本はというとこの最悪のタイミングで胡錦濤中国国家主席を 5月に国賓として招待。天皇陛下まで担ぎ出して会談させるそうです。
 マスコミは踏み込んだ取材をせず、新華社あたりの提灯記事を掲載するに留まり、日頃やかましい人権団体はすべからく沈黙。どうやらこの人たちの人権とはある特定の方々の人権のみ守りたいようですね。

 毒餃子送りつけられても、ガス田盗掘されても、ODA に感謝されなくても日中友好。もう少し事態の推移を見守ってもよいのに早々、日本は五輪ボイコットしないだの、チベットと結びつけて政治問題にしてはいけないだの、口を滑らせる外交センスの無さ。国会は与党も野党も党利党略・私利私欲。

 もはや良識ある民意に期待するしかありません。
 先日、3 月 22 日にチベット・サポート・ネットワーク・ジャパン(TSNJ)という団体が主催した抗議デモが東京で行われ、1,500 名以上が集まったそうです。これは世界各国で行われているチベット抗議デモの中でも頭一つ抜き出た数であり、各国にも世界最大のチベット抗議デモが東京で行われた、と配信されました。これを企画したのは長年チベット支援に携わってきた方々ですが、参加者の多くはインターネットを見て自由意志で駆けつけた若者だったそうです。

 私も騒乱後、ネパール政府関係者や各国の友人知人にチベット弾圧をやめるよう働きかける要望書を送ったりしておりましたが、東京での抗議デモは一つの感銘を受けました。

 現在は 『胡錦濤主席来日時にチベット国旗で静かに迎えよう!』 というキャンペーンが若者を中心にインターネットで急速に広がりつつあり、成功すれば、いくら日本政府がチベット問題を黙殺し、国賓として迎えようとも世論はそうではない、というのを世界にアピールすることができると思います。これには私も参加しようと思っております。

 なにも中国に対し、オリンピック開催を返上せよ、とかチベットを独立させよ、とかそんなところまで求めている訳ではありません。とにかくこれ以上、チベット人を殺さないで下さい、虐待しないで下さい、そしてダライ・ラマと直接対話を行ってください、と要望しているだけです。

 かつてチベットは第二次大戦前、欧米の経済封鎖に苦しむ日本に対し、同じ仏教国が苦しんでいるから、との理由で大量の羊毛を送ってくれたそうです。
 大戦中も連合国のヒマラヤ越えの補給ルート通過を、日本とも国交があるので中立を保つ、との理由で拒否しました。その結果、大戦後チベットは完全中立を保ったにも係わらず、準敗戦国に指定され、後に中国が武力で進攻。現在に至ります。そう、我々日本人はチベットに借りがあり、そして責任があるのです。また、ネパールには 2万人とも 3万人ともいわれる亡命チベット人が暮らしております。

 このちょうど日本とネパールの間にある国で今起こっている深刻な事態が一日も早く平和的に解決をむかえることを、そしてチベット人に完全なる言論と信仰の自由が与えられることを祈らずにはいられません。

 フリー・チベット!
 (渡邊 崇さん)