「ロイヤル華」のHPに時々訪問させていただいていますが、ネパール情勢は好転しているようでよかったですね。この秋はたくさんの観光客が訪れるのではないでしょうか。
ロンドンの方は7月に例のテロがありイギリス中が恐怖に包まれましたが、わりと早い段階で平常のペースを取り戻しました。相変わらず観光客が引きも切らないといった状況ですし、ヨーロッパ全体の景気の良さを反映して街はどんどん綺麗になっていますが、住民はあれ以降漠然とした不安を心の隅に抱えて生活しています。スリランカのテロは場所や日時が比較的掴めたし、狙っている相手もはっきりしていましたが、ロンドンのテロは相手も不特定、エリアも漠然としているので、なんとも底知れない恐怖があります。
それにしても今回のテロ、日本などでは、イスラム教徒とそれ以外のイギリス人との間の戦いのように単純に報道されていますが、実際には移民内の軋轢といったもっと複雑な背景を持っているようです。
イギリスは私が想像していた以上に移民に対して寛容な政策をとってきました。とにかくここには世界中の金持ち、貧しい人、難民、悪党が集まっているといっても過言ではないくらいです。寛容な政策のおかげで移民の中にも社会的にかなり成功する人がたくさん出てきました。(特にインド系の成功はめざましいものがあります)現に私の家の近くの高級住宅街も持ち主、住人ともにほとんどが元移民です。そういった中、同じ移民の間にも持てるもの、持たざるものが生じ、その格差が今度の事件のバックにもあるようです。今回の犯人も成功している者が多い南アジア系の中にあって、成功に見放されている感の強いイスラム系南アジア人であったことが、新しい社会のひずみを象徴しているように思えます。
こうした人種的な問題もあるし、相変わらずのクラス社会ではありますが自由に物は言えるし、日本などよりかなりリベラルな雰囲気のイギリスが私は気に入っています。ずっといられたらいいな、(物価だけは耐えられないほど高いですが)という思いはどんどん募っていくのですが、ここでの生活も3年、いつ異動の報せがあってもおかしくないと覚悟を固めはじめた矢先、ついに異動が決定しました。
というわけで次の任地ですが、なんとクウェートです!正確にはクウェート、バーレーン、カタールの兼任です。このご時勢に中東なんて、冗談がきつすぎるという感じですが、3カ国とも今のところ情勢は安定し、治安もよいようなのでちょっと安心しました。異動決定後、サイトその他の乏しい情報を集めましたが(ほんと乏しいのです)、一番驚いたのは、ただただひとこと「お金持ちの国」だということ。中東というとついつい一括りに考えてしまいがちですが、石油が採れるかどうかで国の様子もまったく違うようです。非産油国はまだまだ貧しい生活のようですが、クウェート、カタールの場合は石油がたっぷり採れるおかげでここまで国が潤っているのかと本当に驚くばかりです。(バーレーンは20年くらいで石油が枯渇するので観光に力を入れているようです)公共料金も医療費も税金もただ、留学生は自国からでる場合でも外国人を迎える場合でも全費用を国が持つといった具合で、まさに”石油”の力を思い知らされたという感じです。ロンドンの一流と言われるお店が黒装束のアラブ人女性で埋め尽くされ、また主な不動産はほとんどアラブ人の持ち物という理由がよくわかりました。
このようにオイルは中東に莫大な富をもたらしましたが、同時にこの地域及び世界に様々な災禍をもたらしたことも確かです。 クウェートを含む湾岸地域の忘れてはいけない側面としてオイルを火種にいつ紛争が起こってもおかしくない極めてフラジャイルな場所である、ということがあげられます。現にクウェートはイラクに兵を送っている国の後方支援の場所であり、(クウェート駐留米軍アーミーは3万8000人、その他様々な国の部隊がクウェートに後方支援基地、前線基地(イラク国境)を置いています。)、アラビア海にもたくさんの艦艇が配備されています。先日クウェート在留外国人のサッカー大会の様子がサイトにアップされてましたが、参加チームは米軍、日本軍(このような表現が適切とは思いませんが)、英軍、 仏軍、そしてクウェート軍としてありました。サッカー場に地雷でも埋めてあるのでは、といいたくなる物騒さではあります。
オイルを巡り様々な国が様々な思惑を持って行動するのを近くで見ることには正直言って興味もありますが、怖いという気もしています。また平和の意味やら色々なことを考えさせられそうです。とにかく砂漠の中に石油わき出ていきなりできた街なので歴史もなく、油と砂とお金だけの退屈な街みたいですが(立派なショッピングセンターだけがやたらあるそうです)未知の場所に住むのもそれはそれで面白いかな、とちょっと楽しみです。
というわけで夫は来週初め、私と子供達はそれぞれの学校のことがあるので長くて3月末、早ければ1月初めにはクウェートにうつる予定です。絵の方もまたまた中断という形になりそうなのが残念ですが、とりあえず基礎は学ぶことができたので地道に描いていくしかない、という感じです。幸いヨーロッパまでは近いので春、夏の講習には参加しようと思ってます。(学年末の展覧会で賞をとることができたんですよ!来年、学校での展覧会を開く権利を得ました。といっても時間の使い方が下手でなかなか作品はたまりません。)
イギリス生活も残り数ヶ月となりましたが、ここの人のペースに合わせ、のんびりここでしかできないことをしていこうと思っています。
ネパールはもうすぐ「ダサイン」でしょうか?素晴らしいカトマンズの秋を満喫して下さい。(合川美雪)